不動産投資の用語集——利回り・NOI・LTV・DSCR ほか
「利回り」「NOI」「LTV」「DSCR」——不動産投資の説明で当たり前のように出てくる用語を、意味だけ中立に平易にまとめました。つまずいたときに戻ってこられる、用語のハブです。
この用語集の使い方
不動産投資の資料や記事には、専門用語が説明なしで出てくることがよくあります。この用語集は、よく目にする言葉の意味を中立に平易に整理したものです。個々の用語には、詳しく解説した記事への入り口も置いています。
ここでは用語の「意味」を示すことに徹し、どの指標が良い・悪い、何%なら安心といった価値判断は加えていません。水準の目安や使いどころは、各用語の詳しい記事や、ご自身の物件の数字で確かめてください(本記事は一般的な情報提供で、投資助言ではありません)。
利回りの用語
まず、資料で最もよく目にする「利回り」まわりの用語です。同じ「利回り」でも、費用を含めるかどうかで数字が変わります。
| 用語 | 別名・英語(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| 表面利回り | グロス利回り | 年間の想定家賃 ÷ 物件価格 で計算する最も単純な指標。管理費・修繕・空室・返済を含めないため、広告で目立つ数字はこれにあたることが多い。 |
| 実質利回り | ネット利回り | 運営費(管理費・修繕・保険・公租公課など)を差し引いた後の収益を、物件価格(+購入時諸費用)で割った指標。表面より低く出るのが通常。 |
| 想定利回り/実績利回り | — | 想定は満室などの見込みに基づく数字、実績は実際の入居・費用に基づく数字。同じ物件でも両者は差が出やすい。 |
収益性・価格の用語(NOI・キャップレート・CF)
次に、物件の「稼ぐ力」や価格の見方に関わる用語です。利回りと近いようで、含める費用の範囲が異なります。
表面と実質の違いや仮の数値での計算例は「表面利回りと実質利回りは何が違うのか」で詳しく扱っています。
| 用語 | 別名・英語(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| NOI | Net Operating Income/純収益 | 年間の家賃収入から、空室損や運営費(管理費・修繕・保険・公租公課など)を差し引いた額。借入の返済や税は含めない考え方が一般的。 |
| キャップレート | 還元利回り/Cap Rate | NOI ÷ 物件価格 で表す利回り。逆に NOI ÷ キャップレート で価格を見る(収益還元)考え方もある。市場・エリア・築年で変わる。 |
| キャッシュフロー(CF) | 手残り | 収入から運営費と借入返済を引いたあと、実際に手元へ残る額。利回り(率)ではなく「額」で見る指標。 |
融資・自己資金の用語(LTV・返済比率・フルローン)
借入に関わる用語です。どれだけ借りるか(自己資金をどれだけ入れるか)を表します。
NOI やキャップレートを使った価格の見方は「収益物件の価格・査定はどう決まる?——中立の見方」、毎月の手残り(CF)の管理は「毎月の手残りを管理する——収支の見方」や基礎編「不動産投資の『手残り』とは?——利回りだけで判断しない基礎」で扱っています。
| 用語 | 別名・英語(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| LTV | Loan to Value/融資比率 | 借入額 ÷ 物件価格(または担保評価額)。自己資金をどれだけ入れるかの裏返しにあたる比率。 |
| 返済比率 | — | 年間(または月間)の返済額 ÷ 家賃収入。家賃のうち返済に回る割合を表す。 |
| フルローン/オーバーローン | — | 物件価格の全額(フル)や、諸費用まで含めて(オーバー)借り入れること。自己資金が少なくて済む一方、返済負担や価格下振れ時の耐性の面で留意点があるとされる。 |
レバレッジと返済余裕の用語(レバレッジ・DSCR)
借入を使うことの効果や、返済の余裕を見る用語です。
自己資金・頭金の考え方やフルローンの留意点は「不動産投資の頭金・自己資金はいくら?——フルローンの注意点」で詳しく扱っています。
| 用語 | 別名・英語(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| レバレッジ | てこ/Leverage | 自己資金に借入を組み合わせ、自己資金だけの場合より大きな規模の投資を行う考え方。効果は上振れ・下振れの双方に働き得る。 |
| DSCR | Debt Service Coverage Ratio/債務返済カバー率 | NOI ÷ 年間の借入返済額。純収益が返済額の何倍あるかを表す。金融機関が事業性を見る際に用いることがある指標。 |
金利・保険の用語(変動/固定・短プラ・団信)
借入の金利や、借入に付随する保険の用語です。
変動と固定の性質や選び方は「投資用ローン、変動と固定どっちを選ぶ?——判断の考え方(2026年版)」、金利の水準感は「投資用ローンの金利相場はいくら?(2026年版)」で扱っています。
| 用語 | 別名(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| 変動金利/固定金利 | — | 変動は市場金利に応じて見直される金利、固定は一定期間または全期間で金利が変わらないタイプ。返済額の読みやすさと当初金利の水準に、それぞれ性質がある。 |
| 短期プライムレート | 短プラ | 銀行が優良企業に短期で貸し出す際の基準金利。変動金利の基準として参照されることがある。 |
| 団体信用生命保険 | 団信 | 借入者に万一のことがあった場合に、残債が保険で完済される仕組み。付帯の可否・条件は商品による。 |
取引・保有形態の用語(区分・一棟・オーナーチェンジ)
物件の持ち方や、売買の形態に関わる用語です。
形態ごとの価格や相場の調べ方は「公的データで相場を調べる——取引価格・地価公示の使い方」も参考になります。
| 用語 | 別名(参考) | 意味(参考) |
|---|---|---|
| 区分(区分マンション) | 区分所有 | 一棟の建物のうち、一室単位で所有・売買する形態。 |
| 一棟 | — | 土地建物を建物まるごと所有する形態。区分と比べ、価格帯・融資・管理の手間・空室の効き方などが異なる。 |
| オーナーチェンジ | — | 賃借人が入居したまま、賃貸借契約を引き継いで収益物件を売買すること。買主は賃料収入や敷金・契約内容を引き継ぐ。 |
| レインズ | REINS/指定流通機構 | 不動産会社が物件情報を登録・共有する、国土交通省指定のネットワーク。媒介契約の種類により登録義務が異なる。 |
用語につまずいたら
用語の意味が分かると、資料や記事の内容がぐっと読みやすくなります。個々の指標を「自分の物件だとどうなるか」で確かめたいときは、次の記事や、アプリの「お金」ビューで残債・金利・家賃を入れて具体的な数字で見ることもできます(すべて参考値・試算としての表示です)。
- 次に読む: 基礎編「不動産投資の『手残り』とは?——利回りだけで判断しない基礎」
- 次に読む: 「表面利回りと実質利回りは何が違うのか」
- 次に読む: 「投資用ローンの金利相場はいくら?(2026年版)」
よくある質問
- 表面利回りと実質利回りの違いは何ですか?
- 表面利回りは「年間の想定家賃 ÷ 物件価格」で、費用や空室・返済を含めない最も単純な指標です。実質利回りは管理費・修繕・保険・公租公課などの運営費を差し引いた後の収益で計算するため、表面より低く出るのが通常です。費用の置き方で数字は変わり、いずれも参考値・試算です。
- NOIとキャッシュフロー(手残り)は同じものですか?
- 別のものです。NOI(純収益)は家賃収入から運営費を差し引いた額で、借入の返済は含めない考え方が一般的です。キャッシュフロー(手残り)は、そこからさらに借入返済を引いて実際に手元へ残る額を指します。率ではなく額で見る点も特徴です。
- LTVや返済比率、DSCRは何%(何倍)なら安心ですか?
- 一律の正解はありません。適した水準はエリア・物件・金利・金融機関の考え方によって変わり、金利上昇や空室でも動きます。本記事は用語の意味を示すもので、水準の良し悪しは判断しません。借入の可否や条件は金融機関に、税務は税理士にご確認ください。
本記事は一般的な情報の提供であり、特定の物件・契約・投資判断の推奨や、税務・法務の助言ではありません。数値はすべて参考値・試算です。税務・契約・法務の判断は税理士・弁護士等の専門家に、借入の可否は金融機関にご確認ください。